潮見台みどり幼稚園

TEL 044-976-1000 〒212-0013 川崎市宮前区潮見台6-1
教育方針

潮見台みどり幼稚園の教育

Ⅰ.幼稚園教育について

1.幼児教育の重要性

 幼児期は、心情・意欲・態度・基本的生活習慣など、生涯にわたる人間形成の基礎が培われる重要な時期です。幼児は、生活や遊びといった直接的・具体的な体験を通して、情緒的な発達・知的な発達、運動能力の発達、あるいは社会性など、たくさんのことを吸収し成長していきます。 また、幼児期は、感情的な面や人間関係の面でも日々急速に成長する時期でもあるため、様々な活動を他の子どもと関わることで、共感したり、時にはぶつかり合ったりすることで、他者を理解し、「人とのかかわり」を深めていきます。 このように、幼児期における教育は、子どもの基本的な生活習慣や態度を育て、道徳性の芽生えを培い、学習意欲や態度の基礎となる好奇心や探求心を養い、創造性を豊かにするなど、小学校以降における「生きる力」の基礎や生涯にわたる人間形成の基礎を培う上で重要な役割を担っています。

《基本的な生活習慣》 幼児期に習得する基本的な生活習慣は、子ども自身が家族や保育者および他の子どもと関わりながら、生活に必要な様々な行動を自分の生活の中に取り込み、身に付けていきます。 基本的な生活習慣には、食事、睡眠、排泄、清潔、衣類の着脱のほか、生活安全、挨拶、後片づけ、約束を守ること、時間を守ること等があります。

2.遊びから学ぶ

 小中学校や高校に学習指導要領が定められているのと同様に、幼稚園にも教育要領が定められており、その教育要領の総則には、「幼児の自発的な活動としての遊びは、心身の調和のとれた発達の基礎を培う重要な学習であること考慮して、遊びを通しての指導を中心として第2章に示すねらいが総合的に達成されるようにすること。」と明記されています。「子どもの仕事は遊び」と昔からよく言われますが、幼稚園教育では「遊び」が重要な位置づけになっています。
 また、前述の「第2章に示すねらい」とは、「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」の5領域のことを指し、幼児が様々な体験のなかで、相互に関連をもちながら総合的に達成されなければならないとされています。

・心身の健康に関する領域「健康」
・人とのかかわりに関する領域「人間関係」
・身近な環境とのかかわりに関する領域「環境」
・言葉の獲得に関する領域「言葉」
・感性と表現に関する領域「表現」

 5領域という耳慣れない言葉のため、砂場遊びを例にあげて、わかりやすく説明します。

①A君は砂場で大きな山を作ろうと思い、それに必要なシャベルを持ってきました。(表現、環境)
②B君が「入れて!」と言ってきたので、A君は「いいよ!」と答えました。(人間関係)
③サラサラな砂だとすぐに崩れてしまうため、水をかけて固めることを思いつきました。(環境) そこでA君はB君に「水をかけると砂が固まるから、B君、水を持ってきて!」とお願いするとB君は快く水くみ係を引き受けました。(言葉、人間関係)
④B君が「トンネルを作ろう!」と言って小さなシャベルを持ってきました。A君はもっと大きな山を作りたかったのですが、B君の気持ちを受け入れ、トンネルを作ることにしました。(人間関係)
⑤水を運ぶときやトンネルを深く掘るときに袖が汚れたり、水に濡れたりするので腕まくりをしました。(健康)
⑥最後に小枝と葉っぱを山にさして完成です。(表現)
⑦完成後、次は2人でブランコをすることになったので、シャベルやバケツを片付け、手を洗いました。(健康)

 このように、1つの遊びを例にとっても5領域すべてが含まれています。領域の考え方は、小学校以降の「教科」とは違い、横のつながり(領域同士のつながり)を重視している点にあります。 また、幼稚園内で起きる子ども同士のトラブルの多くは遊び時間に発生します。自分の思い通りにならないことで葛藤することもありますが、経験を積み重ねていくことで、相手の思いに気付き、受け入れられるようになってきます。遊びについても基本的な生活習慣の習得と共に、人間形成の基礎をつくるために大切なことです。

3.幼稚園教育要領の改訂について〜5領域と「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」

 中教審の答申(「Ⅵ.参考資料」参照)に書かれている通り、子どもを取り巻く環境の変化に伴い、様々な課題が浮き彫りになってきました。それらの課題を克服するため、幼稚園の教育要領を平成30年度から、小学校、中学校・高等学校の学習指導要領もそれ以降に順次改訂施行されます。 幼稚園においては、従来の「生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものである。」といった位置づけは変わりませんが、「小1プロブレム」に代表されるとおり、幼児期の教育と小学校教育との円滑な接続が大きな課題になっていることから、5領域は維持しつつも、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」として、以下の10項目(「10の姿」)を示すことになりました。

① 健康な心と体
② 自立心
③ 協同性
④ 道徳性・規範意識の芽生え
⑤ 社会生活との関わり
⑥ 思考力の芽生え
⑦ 自然との関わり・生命尊重
⑧ 数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚
⑨ 言葉による伝え合い
⑩ 豊かな感性と表現

これらの「力」を就学前に十分育んだうえで、小学校の入学直後には、生活科を核とした「スタートカリキュラム」と呼ばれる総合的な授業を行い、各教科の本格的な学びへと円滑につなげようとしています。 なお、上記の「10の姿」の育成、特に「数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚」の育成については、文言から小学校教育の前倒しというイメージを持ちますが、決してそうではありません。むしろ幼児期の豊富な体験によって身につけた学びの基礎(土台)の上に、小学校以降の学びを積み重ねていくことを意味します。 「10の姿」は、現在の5領域の目的をより具体的に明示したものであることから、当園では、幼稚園教育要領の改訂に伴う大幅な教育内容の変更はありません。ただし、小学校への接続をより円滑に進めるためにも、「10の姿」が達成されるよう、カリキュラム等の見直しを行います。

 


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